活動報告 合評,『シュロック・ホームズの冒険』著.ロバート・L・フィッシュ 訳.深町 眞理子

11月8日(水)に開かれた会合についての報告です。本会合の内容は菅野氏の原稿の合評成田氏によるブックレビューでした。

合評では菅野氏の『読み終わらない本』、『アイドルを弔う』、『わかりあうということ』3篇について扱いました。

読み終わらない本』・・・読み進めたい、でも読み終わるのはイヤだ…そんな読書につきものの葛藤をテーマとした作品。私は最近だと『永遠の森 博物館惑星』菅 浩江 でそんな葛藤に襲われましたね。合評を受け大幅な加筆修正をするらしく、どんな形に落ち着くのか楽しみです。

アイドルを弔う』・・・2017年2月8日に亡くなったアイドルの松野莉奈さん。彼女の不在に対し、ファンである氏がいかに向き合い、前に進んでいくのかを綴った自己内省的な文章。私はアイドルに全く詳しくないのですが、それでも「不在の存在」等興味深いテーマに切り込んだ本稿は胸打つものでした。

わかりあうということ』・・・私たちはお互いにお互いのことを分かったようでいて、本当は分かった”ふり”をしているに過ぎない…そんな何とも厳しい見解を突きつける1篇。ただ、氏の主張は独我論とは立場が異なり、あくまで他者は他者なりに自己の経験から自分のことをわかろうと努めている、という認識が根底にあります。つまり、自己の知覚を信奉する素朴実在論とは一線を画した、氏なりの他者への期待が秘められているのです。その点においてこの作品は、読者に哲学的ゾンビの存在を示唆するような冷めきったものではなく、むしろ他者との相互理解に一縷の可能性を抱かせるものでした。

当会で菅野氏は唯一評論・エッセイを執筆されていますが、全体的にクオリティが高いですね。切り口は多様ですが、「時間」や「思い出」といったテーマを扱った文章が多く、私としては今後も期待しています(何様…)。

合評後には成田氏により『シュロック・ホームズの冒険』(著.ロバート・L・フィッシュ,訳.深町 眞理子 ハヤカワ・ミステリ文庫1977/03)のブックレビューが開かれました。久しぶりのブックレビューです。氏の好きな文芸ジャンルはミステリだそうで、当会のミステリ部門といったところでしょうか。肝心の内容について、レジュメから一部抜粋して紹介します。

あらすじなど

ベイグル街221番地B迷探偵シュロック・ホームズのもとには、さまざまな事件が舞い込んでくる。助手のワトニイ博士とともに、事件を解決に導こうとするのだが…全12編からなる短編集。基本的に、事件が舞い込む→ホームズが突飛な推理を繰り広げ、事件を解決する(彼らの中では)→新聞などで(読者のみが)真実を知る というパターンで話が繰り広げられている。ホームズ・パスティ―シュの中で最も有名な作品の一つ。

感想

・人物像や会話・訳の雰囲気も「本家」感たっぷりで、リスペクトが凄い(また「本家」ネタも満載である)。それ故に迷推理っぷりが笑いを誘う。

・英語の言葉遊び(俗語をそのまま読んだり、普通の文を暗号として読んだりなど)が多い。  

・「アダム爆弾の怪」は本家「ボヘミヤの醜聞」(『シャーロックホームズの冒険』内に収録)、「シュロック・ホームズ最後の事件」は本家「シャーロックホームズ最後の挨拶」(同タイトル書籍に収録)を読んでいるとより楽しめる(原作のオマージュのシーンがある為)。それ以外に、本家でのモリアーティ教授(本作の登場人物”マーティ教授”の元ネタ)がロンドンの悪党を束ねている統領的存在である、ということくらいは知っていた方が楽しめるかもしれない。

などなど

合評以外の活動が停滞気味でしたが、こういった会員一人一人が主体となっていろいろな企画を立ち上げるのはいいですね。今後もやっていきたいところです。

さて、次回会合は菅野氏によるブックレビューです。一体何が語られるのやら…期待です。

文責:春日井

 

tsubasaxsapporo について

ツバサは、札幌の大学生を中心としたゆるーい文学サークルです。 お勧めの本を紹介したり、感想を言い合ったり、小説やエッセイ、評論、レビューなどの執筆をしたりしています。 小説以外にも、映画やアニメ、演劇、ミュージカルなどお芝居系も扱います。 御用の方はどうぞお気軽に tsubasaxsapporo@gmail.com までお願いします。
カテゴリー: 活動 パーマリンク

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中