12/15(金)に開かれた会合についての報告です。
今回の会合では玉置氏によるテクスト論についてプレゼンとすがの氏のエッセイ第一稿の提出がありました。
プレゼンでは『読むための理論:文学・思想・批判』の抜粋を資料として、ブロッホやレヴィ=ストロースといった構造主義の大家を取り上げながら、物語での主人公の役割について論じられました。
玉置さんが結論として挙げられていたのは、物語は主人公が現世と異世界の境界を越えることによって成立する、というロトマンの分析を基に、主人公にはこうした越境者と、固定された世界の観測者の二タイプがある、ということであり、その上で近年の作品では主人公のこうした役割が失われつつあり、他の記号(人物)と置き換え可能な存在となりつつある、という分析を行っていました。
その後、会員同士のディスカッションが行われ、様々な意見が出ました。その中でも「こうした人物の脱構造化がキャラクター小説や「セカイ系」に現れているのではないか」という意見があり、その類の物語を読んで育った私的にはこういう形で注目を受けていることに嬉しさ交じりの驚きがあったとともに、これは改めて分析をしなくてはというよくわからない使命感に駆られてしまいました。
このプレゼンの後、すがの氏のエッセイ原稿がまとまったという報告があり、その提出がなされました。この原稿は後々電子書籍になる予定なのですが、ツバサが出版するということで会員がどう関わっていくのかというテーマでの話し合いが行われました。現在ちょうどその原稿を読み込んでいますが、改めて自分の文章力との差に愕然としております。どうやったらあんな洗練された面白い文章が書けるのでしょうか……。
とまあ久々の会合で少しはしゃいでしまいましたが、気を取り直して次回の会合の準備も進めていきます。次回は思ったよりニーズがありそうなので「セカイ系」とかポスト構造主義とかそのあたりを取り扱ってみようかなと思っています。あと、時間があったらちょっと変わった漫画を手にいれたので、その紹介もします(たぶん)。
会員の皆さん、どうぞお楽しみに。
いすひろし