活動報告 「自分を殺した小説家 ―Goethe und Werther―」

5月14日(月)に行われた会合についての報告です。今回の会合では、Siberian君が『若きウェルテルの悩み』を取り上げ、作者の分身という観点から考察がなされました。

 

ゲーテが25歳の時に出版した『若きウェルテルの悩み』は、主人公ウェルテルが親友ヴィルヘルムに送った書簡という形式をとって書かれています。

内容は大きく二部に分かれており、第一部ではシャルロッテという女性に対するウェルテルの恋情が綴られています。しかし、それは道ならぬ恋であり、彼女にはアルベルトという婚約者がいるのでした。

第二部、アルベルトと結婚したシャルロッテは、ウェルテルに対し冷たい態度をとるようになります。そんな中、ウェルテルの知人が恋情によって殺人を犯してしまうという事件が起きました。ウェルテルは知人を弁護しようとしますが、シャルロッテの父親である法官とアルベルトによって、彼の要求は撥ねつけられてしまいます。自らも否定されたような気持ちになり、ウェルテルは自殺を決意するのでした。

 

社会的身分などの共通点も多いことから、ウェルテルはゲーテの分身であると言われているそうです。この小説も、ゲーテの実際の悲恋体験や友人の死が元になっているということでした。Siberian君は、ゲーテが自分の分身を作り、小説内で彼を死なせたことの理由として、自らが抱く苦悩を消し去ろうとする防衛機制的な効果を求めたのではないかと結論づけていました。

 

作中では、恋情によって罪を犯した知人をウェルテルがかばうという構図から、知人と自分とを重ねるウェルテルの心理が垣間見えます。ウェルテルに自分を重ねたゲーテという存在も合わせると、これは二層構造になっていると言えるのかもしれません。この構造は、ウェルテルに自己を重ねる読者、といった形で波及していきます。

 

会合では、書簡体小説という形が、自己を投影する際に効果的な手法だったのではないかという話や、作者が自己について書くことの難しさについての話が出ていました。

また、報告者の他にも『若きウェルテルの悩み』を読んだ人がいて、ウェルテルが自殺するに至った原因は自分を否定された悲しみなのか、自分が理解されなかったことへの怒りなのか、といった議論も起きました。

 

様々な考察のできる小説ということで、有意義な会合になったのではないかと思います。この夏に読んでみたい本が1つ増えました。

 

文責:玉置

tsubasaxsapporo について

ツバサは、札幌の大学生を中心としたゆるーい文学サークルです。 お勧めの本を紹介したり、感想を言い合ったり、小説やエッセイ、評論、レビューなどの執筆をしたりしています。 小説以外にも、映画やアニメ、演劇、ミュージカルなどお芝居系も扱います。 御用の方はどうぞお気軽に tsubasaxsapporo@gmail.com までお願いします。
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